・・・本書は、〈ブラック・スワン〉のように、娘が究極の母離れという悲劇を演じないよう、なるべく早く母親というものを「対象化」せよと娘たちを導く。すべての娘にとって、「ママ」といったらほかでもない、「うちのママ」「私のママ」であるその女性に「ザ」をつけて、すこし距離をおいて眺めてみよう! というわけだ。
(中略)
しかし、この本にあるママたちのタイプを大人の眼で眺めてようやく気づくのだ。そうか、母親の、トータルな人としての個性ではない「母親としてのタイプ」を見極められるのは、当の子どもによってしかできないことなのだと。
(中略)
そう、娘と母のやっかいな関係はいまにはじまったことではない。女友達の抱える困難のおおもとに、彼女の母親の存在が重苦しく影を落としているのを、これまでどれだけ見てきたことか。たとえ大人になって、母親を対象化できているように見えても、母との関係が長く尾をひきずって、彼女たちにつまらぬ思いをさせることはいくらでもある。だから、なるべく早い時期に対処することが大事なのだろう。私たちがまだ少女だったときに、こういう本があったらよかったのに。
また、大人として読んでこその反省もあった。どんなに理不尽で不可解に思えることでも、いずれは納得し、謎が解けるときがくる(もちろん、いくつになってもわからないことも沢山ある)と、つい考えてしまうもの。けれども、その感覚を子どもに対して採用してはならないということだ。大人である他人に対しては当たり前ともいえることを、子どもに対しては忘れてしまう。そのことは、しかと心にとめておかなくては。これは、この本が子どもに向けて、なるべくかみ砕かれたことばで書かれてあるからこそ、気づけたことだろうと思う。