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「紙幣も絵画も単なる一枚の紙きれですが、その価値という幻想をもちうる人や社会で共有されてはじめて価値が決まるものです。お金はデフレ、インフレ、国際為替によって常に変動しています。芸術も評論軸は常に揺らいでいて、ある人にとっては名作であっても、別の人にはなんの値打ちもないかもしれない。そうした紙幣や芸術の危うい共通性を作品にしてみたのが、この『肖像経済』なのです」
(中略)
「世の中にはお金よりも大事なものがあると言った革命家たちが、後に紙幣の顔になるという皮肉な転換も起こります。カラヴァッジオなどは殺人まで犯したのに、美的表現の成功者だという理由で紙幣になっている。イタリアでは、美は道徳を凌駕するんですね。(中略)さらにはこうして紙幣が芸術になると、今度は新たに作品としての値段がつきます。経済と芸術がクロスするところに複雑な価値の交錯が生じて、不思議な面白みのある世界が展開できたと思います」
20世紀の顔=紙幣の顔。お金と芸術の価値を問う作品集──森村泰昌『肖像経済』

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「紙幣も絵画も単なる一枚の紙きれですが、その価値という幻想をもちうる人や社会で共有されてはじめて価値が決まるものです。お金はデフレ、インフレ、国際為替によって常に変動しています。芸術も評論軸は常に揺らいでいて、ある人にとっては名作であっても、別の人にはなんの値打ちもないかもしれない。そうした紙幣や芸術の危うい共通性を作品にしてみたのが、この『肖像経済』なのです」

(中略)

「世の中にはお金よりも大事なものがあると言った革命家たちが、後に紙幣の顔になるという皮肉な転換も起こります。カラヴァッジオなどは殺人まで犯したのに、美的表現の成功者だという理由で紙幣になっている。イタリアでは、美は道徳を凌駕するんですね。(中略)さらにはこうして紙幣が芸術になると、今度は新たに作品としての値段がつきます。経済と芸術がクロスするところに複雑な価値の交錯が生じて、不思議な面白みのある世界が展開できたと思います」

20世紀の顔=紙幣の顔。お金と芸術の価値を問う作品集──森村泰昌『肖像経済』